神話伝説その他

神話・伝説・昔話の研究・翻訳ブログ。日本・台湾・中国がメイン。たまに欧州。

『日本昔話通観』話型要約

『日本昔話通観』話型要約 一時閉幕

「『日本昔話通観』話型要約」は597番で一時中断です。いくらなんでも時間かかり過ぎだ・・・。

300番以降にはコメントも書けていませんが、これは今後少しずつ埋めていく予定。
「とりあえずブログ内検索で使えるようにする」ことを優先しました。

なぜ597番で中断なのかと言うと、これ以後は「笑い話」に分類されているからです。

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今更ですが『日本昔話通観』話型の分類をあげておきます。

 

一 むかし語り

人の世の起こり

超自然と人

異郷訪問

天恵

呪宝

誕生

兄弟話

継子話

婚姻

霊魂の働き

厄難克服

動物の援助

社会と家族

知恵の力


二 動物昔話

動物前生

動物由来

動物葛藤

動物社会


三 笑い話

賢者と愚者

おどけ・狡猾

くらべ話

愚か者

愚か婿

愚か嫁

愚か村

誇張

言葉遊び

形式話

597番までが「むかし語り」と「動物昔話」。598番以降は「笑い話」です。
サブタイプを除くと通観の話型数は1211ですから、「笑い話」が半分以上を占めていることに。

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私の興味の対象はあくまでも「神話」「伝説」ですから、その参考にするという意味では「むかし語り」と「動物昔話」だけで良いようにも思います。

しかし実際に「笑い話」の方をちらほら読んでみると、何を以て「笑い話」の方に分類されているのかわからないものも結構あります。
またモチーフのレベルで見ると、「むかし語り」や「動物昔話」には見られない特異なものもあって、比較研究などでは無視できません。「日本では面白い落ちがついて笑い話に分類されているが、台湾原住民では創世神話に登場する話である」などということも可能性としてはありえるわけです。現状ではそういう例は見つけていませんが・・・。

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「笑い話」に分類されているものにもいくつか傾向はありそうです。全部は読んでいないのでざっと見たイメージですが。

例えば「排泄」や「性」に関わるような話は「笑い話」に分類されやすそうな気もします。
しかし神話の中には排泄や性に関わるモチーフも当然存在します。笑おうが笑うまいが、結果として起源神話になることはありえるわけです。『播磨国風土記』オホナムチスクナヒコナ伝承とか。

他にも「むかし語り」や伝説にある主要モチーフを備えつつ、結論が笑いや機智・頓智に落ちている、というものもありそうです。
例えば「799絵鶏の賭け」は明らかに伝説の「絵抜け馬」モチーフを含んでいて、「絵の鶏に針を刺して鳴かなくさせる」というのも伝説の「絵抜け馬」を踏襲していると言えます。しかしなぜか「笑い話」に分類されている・・・。

つまり「笑い話も無視できない」ということですが、基本的にはモチーフレベルの共通性ですから、当面は「モチーフインデックス」の方でフォローしようと思います。

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ということで「『日本昔話通観』話型要約」はこれにて一時閉幕。
次は台湾に戻ります。

『日本昔話通観』話型要約 597【小ぶなの夢見】

通観597【小ぶなの夢見】

1小ぶなが、四本柱立ち雪降りにごり川に落ちる、と夢に見、かじかの法印が、食べ物に注意せよ、と忠告する。

2小ぶなは釣り針の餌に食いつき、菜板と包丁で料理され、鱗を落とされ味噌汁になる。

D1812.3.3 未来が夢の中に現れる

M341 死が予言される

M370.1 死ぬという予言通りになる

〈注〉「妻女奪還-狸の占い型」参照。

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動物社会。

秋田・山形・兵庫。


『日本昔話通観』話型要約 596【松の伊勢参り】

通観596【松の伊勢参り】

1気品のある老人が伊勢参りの途中宿に泊まり、主人に在所と姓名を告げて路銀を借る。

2村人は、松の木に伊勢参宮のお札が掛かっているのを見て、松が参宮したことを知る。

D431.2 変身‐樹木から人間へ

D950 魔法の木

D1610.2 もの言う樹木

F970 樹木や植物の異常なふるまい

V531 聖地への巡礼

B296 動物たちが旅に出る

D215 変身‐人間から樹木へ

Z293 主人公の帰還

〈注〉伝説的で、しばしば説明的に話される。

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動物社会。

宮城・秋田・山形・福島・新潟。伝説大系「九 伊勢参りの松」。


『日本昔話通観』話型要約 595【大木の秘密】

通観595【大木の秘密】

1木こりが大木を切ろうとするが、夜の間に草や木がこっぱを元どおりくっ付け、何日切っても切り倒せない。

2大木がへそかずらに、お前などもう来なくてよい、と言うと、怒ったへそかずらは木こりの夢枕に立ち、大木の秘密を告げる。

3木こりは、切るはしからこっぱを焼きつくし、大木は切り倒される。

D950 魔法の木

D1602.2.2 木を切ると木くずが元の場所にもどる

F970 樹木や植物の異常なふるまい

D1610.2 もの言う樹木

D1814.2 夢による忠告

N476 特異な傷つきやすさの秘密が暴露される

K2297 友人の裏切り

Q291 冷酷さが罰せられる

〈注〉(1)語り手の物語る視点は、草木の世界に向けられていて、「木霊女房」などと区別される。(2)伝説色が強く、京の三十三間堂などの棟木の由来となる点で、「木霊女房」とかかわる。

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動物社会。

岩手・山形・福島・北陸・中部・近畿・島根・広島山口・愛媛高知・福岡佐賀大分・長崎熊本宮崎・沖縄。


『日本昔話通観』話型要約 594【うじ虫の騒動】

通観594【うじ虫の騒動】

爺が便所に入ると、虫干しをしているうじ虫が、空がくもって夕立がくる、屁をひると、雷だ、糞を落とすと、雷が落ちた、と大騒ぎをする。

J1812 その他のいろいろな音を誤解する

X900 嘘とほらについてのこっけいさ

〈注〉露悪趣味は昔話では好まれるむきがある。「まぬがれぬ運」なども同想である。

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動物社会。

鳥取・島根・岡山。


『日本昔話通観』話型要約 593【もぐらと鳶】

通観593【もぐらと鳶】

M耳の早いもぐらが、大きな音がした、と土の中から顔を出すと、目のさとい鳶が、落ちた蚊の眉毛を拾ってくる。

F642 驚くべき視力の持ち

X900 嘘とほらについてのこっけいさ

《対応タイプ》AT238

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動物社会。

岩手・岐阜静岡愛知・兵庫・岡山・福岡佐賀大分。


『日本昔話通観』話型要約 592【猿の目抜き】

通観592【猿の目抜き】

1猿が、迷いこんだ一つ目猿の国で二つ目をばかにされ、目の一つを抜いて仲間に入れてもらう。

2猿は元の仲間にもどろうとするが、一つ目だ、とばかにされてもどれない。

J1706 愚かな動物たち

J2400 愚かしいまねごと

F512.1 一つ目の人間

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動物社会。

近畿。


『日本昔話通観』話型要約 591【蛙の失敗】

通観591【蛙の失敗】

Mはじめて牛を見た子蛙が、親蛙に、大きな生き物を見た、と話すと、親蛙はお腹をどんどんふくらませ、このくらいか、と確かめているうちにお腹が破裂して死ぬ。

J1706 愚かな動物たち

J2400 愚かしいまねごと

《同一タイプ》AT277A

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動物社会。

岩手・山形・福島・山梨長野・沖縄。


『日本昔話通観』話型要約 590【蟹の親子】

通観590【蟹の親子】

1親蟹が子蟹に、もっと上手に歩け、と模範を示すと、子蟹はまねて横歩きする。

2親蟹が子蟹をたしなめて、また模範を示すが、やはり横歩きとなる。

J1706 愚かな動物たち

U121 似た者親子

A2470 動物の習慣的な体の動き

U121 似た者親子

A2375.2 動物の足の性質

《同一タイプ》AT276

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動物社会。

山形・福島・関東・島根。


『日本昔話通観』話型要約 589【亀の天昇り】

通観589【亀の天昇り】

1三匹の亀が昇天する竜に頼み、先頭の亀がその尾に食いつき、数珠つなぎになって天へ向かう。

2途中で竜が亀の安否をただすと、亀は返事をして元の池に落ちる。

F11 天(上界の楽園)への旅

Z71.1 形式化した数-3

J1706 愚かな動物たち

J2357 亀がしゃべって、くわえていた棒を放す

《対応タイプ》AT225A

〈注〉(1)同想の話がよく形式話の機能を有している。(2)「亀の甲羅」参照。

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動物社会。

福島・関東・岐阜静岡愛知・兵庫・岡山。


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